911

ニューヨーク同時多発テロの起きる一週間前まで、アメリカに住んでいた。
本当は9/1に帰国しなければならないことになっていたのだが、諸般の事情で9/4になった。いれるものならもっともっといたい、と思っていたので、9/4に伸びてとても嬉しかった。というか帰国するのがイヤでイヤでたまらなかったので、あと一週間くらいこっちにいたいな〜、などと思っていた。
テロが起きて真っ先に心配したのは、日本からニューヨークに行っている友人達やいとこ、そしてアメリカで知り合いその後ニューヨークに移り住んだ友人達の安否だった。電話をしよう、と思った。が。思いとどまった。じゃあメールだ、と書き出した。が、これも結局思いとどまった。大量に届いているに違いない、と思ったのと、彼らは必ず、安全ならばメールで知らせてくれるだろう、と思ったからである。案の定、数日後には、無事とのメールが届いた。
日本から行っていた友人のメールには、ちょっと歩くと警官に呼び止められまくり、との文があった。それを読んで新たな心配も起きてきた。アメリカで知り合いになった友人のうち、特にアラブ系の連中の動向である。彼らはいったん親しくなると、とことん親しい。引っ越しの手伝いに駆けつけてくれた奴もいる。家に招いて家庭料理をごちそうしてくれた奴らもいる。おおざっぱなところはあるが気の良い連中だった。でもアラブ系。湾岸戦争のときみたいに、どこぞのバカモンに迫害されてやしないか。ひどい目にあってやしないか。
とりあえずメールアドレスが分かる奴にメールをした。幾つかは返ってきた。割とヘラヘラした様子で近況を伝えてくれ、ホッとした。しかし返ってこないメールも幾つかあった。その中には、引っ越しの梱包を汗だくになって手伝ってくれた奴も含まれていた。まあ、筆無精だったり、たまたま別の地に移り住んで、メール環境が変わったかどーかしちゃったんじゃないか、とは思うが。